音のない母音 【子音vs.母音編】

本日はブログタイトルでもあるVoiceless glottal fricativeについて考えてみる。日本語で言い換えるならば、無声声門摩擦音である。私は「音のない母音」と呼んでいる。さて、この音が如何にして、その不安定さを保持しながら現在までにいたるか…から考えてみよう。

その① 子音 vs. 母音

2015-02-15 02.14.00

摩擦音に関して書き出しはこのように始まる…”Fricative sounds are those in which a turbulent airstream is produced within the vocal tract… Forms of [h] is produced at the glottis are classed as fricatives, but it is more appropriate to consider them as vowels.”(p.137)

but 以下で見られるように子音として分類されているのにもかかわらず、母音として扱う方が適当であるとされている。では母音の章へと移ってみようではないか。すると約10行にわたり簡潔に述べられている(以下抜粋)…this sound have been described as voiceless of the vowels (Ladefoged 1971). But, as Keating (1988) has shown, the shape of the vocal tract is often simply that of the surrounding sounds (p.325).ますます、[h]に関しての説明が曖昧である。「摩擦の無い母音」=口内での舌は平らな状態であり、ただ単に息が吐き出された際に生じる発音である。だからこそ、肺から押し出された空気は声道(vocal tract)のどこにも阻害を受けることなく、音声化される。

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子音では口内のどこかにぶつかり、その際に有声か無声かで分類される。母音では舌の高さや形で分類される。これらのことを考えに入れると無声声門摩擦音[h]は、結論として、子音とも母音とも区別がつきにくい音として扱われている実態が視覚化されてくる。必ずしも、どちらかに分類しなければならないわけではないが、特異性を保持したままの音素として、残れるかが懸念される。

参考文献

Ladefoged, P and Maddieson, I (1996) “The sounds of the world’s languages”